SPring-8見学会と南光ひまわり祭り 2010.7.24


 平成22年7月24日(土)梅雨明けの暑い日に、兵庫県西部の播磨科学公園都市(光都)にある大型放射光施設SPring-8を見学しました。同施設の広報室次長をされている尾崎さん(21回卒)のご提案とご案内によるものです。参加者は20名、現地集合の3名を除く17名が姫路駅南口(写真1)に9時過ぎに集合し、貸し切りバスで10時過ぎにSPring-8に到着しました。今回の企画では、この時期に佐用町で開催されている「南光ひまわり祭り」とたつの市の「そうめんの里」も序に寄ることになりました。


 ホームページ(http://www.spring8.or.jp)によりますとSPring-8は世界最高性能の放射光を利用できる大型の実験施設であり、国内外の研究者に広く開かれた共同利用施設として、物質科学、生命科学、環境科学、産業利用などの分野で優れた研究成果を挙げているようです。施設者は理化学研究所(理研)、運転・維持管理と利用促進業務は財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)(尾崎さんの会社)がおこなっています。
 放射光とは、電子の塊(電子ビーム)を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁場によって進行方向を曲げたときに発生する指向性の良い高輝度の光(主にX線)です。SPring-8の名前はSuper Photon ring−8 GeVに由来しています。8GeVは加速された電子のエネルギーでこれが大きいほど指向性の良い明るい光が得られます。
 
 放射光の発生装置は電子ビームを発生させて8GeVまで加速するための加速器(線形加速器、シンクロトロン)と、その電子ビームを大きな円形の軌道に貯めておいて放射光を取り出す蓄積リングで構成されています。蓄積リングは直径460m(周長1440m)もあり、その周上に放射光を発生させる偏向電磁石と挿入光源(アンジュレ−タと呼ばれる強い永久磁石列)が多数配置されていて、それぞれからリングの周方向に放射光を取り出すことができるようになっています。蓄積リングは小さな山(三原栗山)を取り囲むドーナツ型の蓄積リング棟の中に入っています。(写真2)



 見学はまず放射光普及棟(PR棟)の講堂に案内され、SPring-8の説明をして頂きました。SPring-8は平成9年10月から供用が開始され多くの成果を上げているが、更に高性能の放射光であるX線自由電子レーザー(XFEL)を生産できるXFEL施設を現在蓄積リング棟の隣に建設中であり(写真2左上の細長い建物)、本日見学できるとのことでした。続いて蓄積リング棟に移動し、1階展示室の偏向電磁石やアンジュレータ(写真3)を見た後、2階見学室から蓄積リング棟内部の実験ホールをガラス窓越しに見学しました(写真4,5)




 蓄積リングは厚いコンクリート壁に囲まれた大きなドーナツ型の収納部の中にあるため見えないが、そこから放射光を取り出すビームラインが幾つか見え、各ビームラインの末端には実験ハッチがあってそこで研究者達が放射光を使って実験をしていました。
 続いてバスでXFEL施設に移動し、見学室の展示物(マイクロ波加速管、マイクロ波発生装置(クライストロン)、真空封止型アンジュレータなど)を紹介して頂いた後、窓越しに鰻の寝床のような長いXFEL施設の中を拝見しました(写真6)。 



 この施設は電子銃、多数のマイクロ波加速管、長い真空封止アンジュレータが一直線に配置されていて、電子ビームはSPring-8と同じ8GeVに加速され、真空封止アンジュレータで生まれた放射光は位相が完全に揃った高輝度のX線レーザー光となって実験研究棟に供給されるとのことです。本年度中に完成するようですが、完成後の研究の新たな展開が大いに期待されているようです。
 15分程の見学の後、再び普及棟に戻り、展示コーナーを見学しました。ここはSPring-8及び放射光関連の写真、加速器、電磁石、アンジュレータなどの機器や模型、光の回折や干渉、パルス光の不思議な世界などを案内して頂きました。(写真7)20分ほど見学して、12時40分頃SPring-8を辞して、昼食のため光都内の兵庫県立大学理学部近くのレストランすみれ亭に向かいました。途中、尾崎さんの案内で兵庫県立粒子線医療センターをバスの中から拝見しました。ここは炭素粒子線によるがんの治療に高い治癒率の実績を持っているが、まだ保険が効かないので1回の治療は300万円ほどかかるとのことでした。

 昼食のすみれ御膳(刺身、天ぷら、ミニとろろ蕎麦、茶碗蒸し、フルーツ付き)に舌鼓を打って、午後2時頃に次の見学先南光ひまわり祭り会場(佐用町東徳久地区)に向かいました。30分ほどで会場に到着し早速ひまわり畑に行きました。(写真8)



 この日は熱射病が心配されるほど日射しが強く暑い日でしたが畑は大勢の観光客で賑わっていました。美化協力金と添え書きされた100円の入園券で20分ほど満開の向日葵を楽しみ、露店でひまわり煎餅などの土産を買って3時過ぎに会場を後にしました。
 JR姫新線と平行に走る出雲街道を40分ほどうとうとしながらバスに揺られ、次の訪問地たつの市の「そうめんの里」(揖保の糸資料館)に着きました(写真9)。若い案内嬢の案内で手延べそうめん造りの実演、マネキン人形で昔のそうめん造りの様子を再現した展示室などを見学した後、試食コーナーでそうめんを試食し、売店でお土産などを買い、最後に記念の集合写真を撮って(写真10)4時半頃帰途につきました。予定解散時刻の午後5時に姫路駅に帰着しました。

 

 今回の見学会は一人ではまず行くことがないと思われる所に連れて行って頂き、大変勉強になり、且つ思い出深いものとなりました。この見学会を企画お世話下さったSPring-8の尾崎さん、有田支部長、事務局の宮坂さん始め幹事の皆さんに心よりお礼申し上げます。子林さん、宮坂さん、井間さんにはこの報告文に添える写真を送って頂きました。
(深志9回卒 齋藤好弘)