平成20年7月26日(土)、この夏一番のうだるような暑さの中、大阪・中之島は堂島川のほとりに建つ大阪市立科学館にて、深志3回卒・柳澤源内さんをお招きして、深志同窓会関西支部と科学館との初のコラボ企画「こんなに楽しい!ヘリとロボ」が開催されました。

講演会前半は、「日本初のロボット学天則とは?」と題して、学天則復元に携わった科学館学芸員の長谷川能三さんによる復元事業のお話を伺いました。「学天則(宇宙・自然界の法則=天則を学ぶの意)」は、私たちの大先輩である西村真琴さん(松中25回卒)が大阪毎日新聞社在籍当時、昭和3年に作製した日本初、東洋初のロボットで、今年大阪市立科学館で実物大復元され、近頃一般公開が始まったところです。講演では、「One day in Osaka」という短い無声映画で大阪の1日を眺めた後、ロボットの概念や世界的な歴史、学天則の姿や動きについて詳しい解説を頂き、講演の最後には、正面玄関口に展示された学天則が実際に動く様子を見学しました。一度見たら忘れられない国籍不明の学天則の顔貌は、特定の人種に偏らず、いろいろな民族のいいところを併せ持たせた結果であり、衣装や持ち物、記録台にもそれぞれにユニバーサルな内容が込められていました。圧縮空気で動く目や瞼、頸、腕、そして呼吸に至るまで、繊細さと強さを同時に感じさせるロボットでした。

講演会後半は、「二重反転型一人乗りヘリコプター開発ものがたり(The unique single seated Co-axial Helicopter)」と題して、地元・松本で、ギネス公認の世界最小一人乗りヘリコプターの開発に成功された発明家・柳澤源内さんのお話を伺いました。「きけわだつみのこえ」で有名な上原良司(松中・61回卒)の再従弟(はとこ)にあたり、年少のころから飛行機への強いあこがれがあったという柳澤さんは、東大の研究室や企業で、エンジニアとしてエンジン中心に設計開発の仕事を担当された後、帰郷を機にエンジニアリング・システム株式会社を創業されました。いまだ現役で研究開発に従事していらっしゃいます。国内の大学教授たちからは“無理!飛ぶはずがない!”と一蹴された一人乗りヘリコプターにおいて、その軽量化、飛行の安定性と正確性を見事実現され、特に海外での評価は絶大です。ヘリコプターの原型スケッチを残したレオナルド・ダ・ビンチの故郷、イタリア・ビンチ市からの招待で飛行をご披露された時のビデオを拝見し、組み立てに30分とかからぬ簡便性、垂直上昇を可能にした機能性、自転車のハンドルを扱うようなシンプルな操作性に、一般人が自由に空を飛ぶことも決して夢ではないことを確信しました。国内では法律が邪魔をして、飛行範囲も限られるそうですが、「夢は実現するもの」という言葉を信じて進み続けていらっしゃる柳澤源内さんのお話に、ワクワクするような活力を頂きました。


講演会終了後、大阪大学中之島センターに場所を変えて催された懇親会には、今回の企画で大変お世話になった科学館の加藤学芸課長さん(東北大学時代に深志生と交流のご経験あり)と、講師の長谷川学芸員さん(DNAの二重らせんのネクタイがオシャレ)にもお越し頂き、盛会となりました。

 

大阪市立科学館にとっても関西支部にとっても初の試みでありました「時代の最先端技術に関するコラボ講演会」は大成功のうちに幕を閉じました。ご協力を頂きました皆様、誠にありがとうございました。  (文責:奴久妻)